医局ブログ│自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座

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Laryngeal microwebに関する論文がJ. Voiceに掲載されました

   

文責
金澤丈治

喉頭機能外科では、喉頭形成術の治療成績と適応の拡大、嚥下内視鏡検査の意義、声帯病変の対する再生医療の応用のような臨床研究に加えて、内喉頭筋への遺伝子導入などの基礎研究も行っております。今回は、山形大学および国際医療福祉大学東京ボイスセンターとの共同研究であるLaryngeal microwebに関する研究結果がまとまりましたので紹介致します。

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要約

目的

Laryngeal webは重篤な音声障害を呈する疾患として知られているが喉頭微細手術の際に偶然発見されるLaryngeal microwebの発生頻度や病的意義に関してはあまり知られていない。今回、良性声帯病変に伴うLaryngeal microwebの有病率とその影響を明らかにすることを目的とした。

方法

本研究では、良性声帯病変に対して行われて喉頭微細手術中に偶発的に発見された5mm以下の声帯前方の病変をLaryngeal microwebと定義し、その頻度と背景因子を検討した。

結果

良性声帯病変に伴うLaryngeal microwebの発生頻度472例中64例(13.6%)であった。また、原因疾患は声帯結節、ポリープ、嚢胞、喉頭腫瘍の順に多かった。Laryngeal microwebの有無により術前の年齢とジッター率に有意差が認められた。また、発生場所を声門上、声門、声門下に分けると大きさおよび原因疾患に有意差が認められた。更に、性別および原因疾患の種類は、Laryngeal microwebの位置と有意に相関していた。

Laryngeal microwebの部位別発生割合

喉頭微細手術中に偶然に発見されるLaryngeal microwebを声門上、声門下、声門下の3つに分類したところ声門型が最も多かった。

参考文献

Kurakami K, Kanazawa T, Hasegawa T, Araki N, Honda N, Kashima K, Matsuyama K, Ito M, Kakehata S, Watanabe Y. Retrospective Examination of the Prevalence of Laryngeal Microwebs Associated With Benign Vocal Fold Lesions Under Microlaryngosurgery. J Voice. 2025 Jun 16: S0892-1997(25)00209-7.

 - 学術編