ASHNO 2025学会印象記(ホーチミン)
ホーチミンで開催された ASHNO 2025(Asia Society of Head and Neck Oncology 2025)に参加しアジアにおける頭頸部腫瘍学の急速な発展と多様性を感じました。(開催日:2025年10月31日〜11月2日)本学会は全体として和やかで参加しやすい雰囲気があり研究内容を率直に議論し合うには適した学会と思います。国際学会への参加経験が少ない若手にとっても敷居が低く最初の国際学会として非常に適している印象を受けました。


当院からは2題のポスター演題が採択され、耳鼻咽喉科学講座 松山浩太先生が副甲状腺腫瘍における受容体型チロシンキナーゼ(RTK)発現の検討を、医学部非常勤講師 佐々木徹先生が未分化甲状腺癌の臨床経過とRTKシグナル解析を発表しました。どちらの研究も基礎と臨床を橋渡しする内容で、海外研究者から積極的な質問が寄せられ、国際的に関心が高い領域であることを実感しました。

私は口演として「Epigenetic Alterations and Functional Analysis of Somatostatin Receptor Type 2 in Head and Neck Squamous Cell Carcinoma」を発表し、HNSCC における SSTR2 のメチル化と機能解析の結果を報告しました。エピジェネティクスを基盤にした新たな治療標的探索というテーマは国際的にも注目度が高く、発表後には中国、インド、韓国の研究者から多くの意見や助言を頂きました。
また、New Technology: General セッションの座長も務め、AI、画像解析、手術支援技術など各国の先端的取り組みを共有でき、非常に学びの多い時間となりました。

ROUND TABLE 6:New Technology Session

今回の ASHNO 参加を通じ、アジア各国とのネットワークの重要性と、国際的な視点で研究を進める意義を改めて実感しました。この学会は参加しやすい学会です。今後は当科からもさらに国際学会に挑戦する若手研究者が増えることを期待しています。
ホーチミン滞在レポート|風景編📢
ASHNO 2025が開催されたホーチミン市は、ベトナム最大の経済都市で、フランス植民地時代の面影を残す歴史的建造物と近代的な高層ビル群が共存する魅力的な街です。

🌅 サイゴン川沿いの早朝風景
ホテルの窓から見下ろしたサイゴン川は、朝日が昇るにつれて水面がやわらかく染まり、高層ビル群がゆっくりと黄金色に浮かび上がる幻想的な景色に。都会的な風景の中にも穏やかさがあり、1日の始まりに心がすっと静かになる時間でした。

🏛️ ホーチミン人民委員会庁舎(旧市庁舎)
フランス植民地時代に建てられた建築物で、ホーチミンを代表するランドマークのひとつ。白い外壁と赤い屋根、繊細な装飾が美しく、まるで絵葉書のような景観です。朝の澄んだ光の中で見る庁舎は特に印象的で、思わずシャッターを切りたくなる場所でした。

🌃 リバーサイドから眺める夜景
夜は一転、街がネオンに包まれ別世界のような表情に。川沿いのカフェテラスで夜風に吹かれながら食事を楽しむと、対岸に広がるイルミネーションがきらきらと揺れ、ホーチミンのエネルギーを肌で感じます。昼とはまったく違う活気ある表情に思わず見入ってしまいました。
ホーチミン グルメ情報 🍜レポート📢
☕学会の合間に立ち寄ったベトナムコーヒーの名店

ホーチミン滞在中、Trung Nguyen Legend Café(チュングエン・レジェンド・カフェ)で本場のベトナムコーヒーを楽しんできました。ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国です。店名の「Trung Nguyen(チュングエン)」は、ベトナム産コーヒーを世界に広めた先駆者的ブランドとして知られ、1998年の創業以来、国内に約100店舗を展開する最大手コーヒーチェーンです。「偉大な魂のための場所」をコンセプトに、コーヒーと共に知的な刺激を提供する文化的空間として人気を集めています。
写真は伝統的なベトナムコーヒーの抽出器具「phin(フィン)」で淹れたコーヒー。金属製フィルターでゆっくりと一滴ずつ抽出される様子を眺めながら待つ時間も含めて、ベトナムコーヒー文化の醍醐味です。濃厚で力強い味わいが特徴で、学会の疲れを癒すのにぴったりでした。ホットやブラックで飲むこともできますが、氷や練乳と混ぜてアイスミルクコーヒーとして飲むのが、チュングエンレジェンドのおすすめ。カップに印刷されているのは作曲家ベートーヴェン。彼が毎朝正確に60粒の豆を数えてコーヒーを淹れていた逸話から、このカフェでは創造性とコーヒーの象徴として偉人たちが描かれています。




