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Singing Voice Handicap Indexの論文

      2022/04/05

喉頭機能外科の金澤です.論文掲載のお知らせです.前任地の東京ボイスセンターのSinging Voice Handicap Index日本語版に関する論文に共同著者として加わりました.歌唱者の音声障害の治療は常に頭を悩ます問題ですが,この論文は,評価判定の基礎となる日本語版Singing Voice Handicap Indexの信頼性と妥当性を検証しています.第一著者である奥井先生に日本語の抄録を作成して頂きました.専門医向けの内容ですが関心のある方はご一読頂ければと思います.J. Voiceのホームページでも閲覧できるようになっています.

Validation of the Japanese Version of the Singing Voice Handicap Index.

Okui A, Nimura Y, Komazawa D, Kanazawa T, Konomi U, Hirosaki M, Okano M, Nishida M, Watanabe Y. J Voice. 2021 Oct 8: S0892-1997(21)00280-0. 

 

目的:本研究の目的は、日本語版Singing Voice Handicap Index( SVHI)を作成しその信頼性と妥当性を検証することである。

 

方法:原版SVHIを日本語に翻訳し、日本語版SVHIを音声障害のある歌唱者102人と音声障害のない健常歌唱者に施行した。日本語版SVHIの信頼性は内的整合性と再現性で検証した。内的整合性はCronbachのα係数を介して評価した。再現性は初回検査と2回目のSVHI値を使用した再テスト法を行い、級内相関係数(ICC)を用いて分析した。妥当性は構成概念妥当性と弁別的妥当性で検証した。構成概念妥当性は、歌唱に対する困難度を自己評価したVisual Analogue Scale(VAS)値とSVHI値の相関をSpearmanの相関係数で評価した。弁別的妥当性は、音声障害のある歌唱者と健常歌唱者のSVHI値をt検定で比較して評価した。また、健常歌唱者と歌唱時のみ音声障害のある歌唱者、会話と歌唱時両方に音声障害のある歌唱者の3グループで、VHI値とSVHI値をTukey’s honestly significant difference 検定で比較した。

 

結果:日本語版SVHIのCronbachα係数は0.981であり、再テスト法のICC(2,1)は0.93(95% 信頼区間:0.86~0.96)であった。構成概念妥当性では、SVHIとVASの値に優位な相関(r = 0.736、p <0.001)を認めた。弁別的妥当性においては、音声障害のある歌唱者のSVHI値は健常歌唱者の値よりも高値であった(77.8±37.5対30.0±26.5、p <0.001)。また、歌唱時にのみ音声障害を訴える歌唱者と健常歌唱者のVHI値には有意な差を認めなかったが、SVHIでは歌唱時にのみ音声障害を訴える歌唱者のSVHI値が健常歌唱者よりも有意に高値であった(63.4±36.8対30.0±26.5、p <0.001)。

 

結語:本研究では日本語版SVHIの信頼性と妥当性が検証された。日本語版SVHIは、日本語を母語とする歌唱者の音声障害が歌唱に与える影響の重症度を評価できる有効な自己評価質問票である。

 

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