声帯内ステロイド注入療法の論文
2022/04/05
明けましておめでとうございます．喉頭機能外科の金澤です．論文掲載のお知らせです．声帯炎や声帯結節，声帯ポリープなどのいわゆる“声帯粘膜良性病変”は音声障害の原因疾患として，診察する機会の多い疾患ですが，治療には意外に難渋致します．というのも，これらの疾患の治療は声の安静が基本ですが，忙しい現代社会で，声を使わないで日常生活を送ることは非常に難しいためだと考えています．このため私達は，外来でできる治療として声帯ステロイド注入療法を行っています．この度，その治療成績をまとめた論文が掲載されました．
予想通り，声帯内ステロイド注入療法は，声帯粘膜良性病変に対して有効な治療法でした．また，疾患別に比較検討すると，慢性声帯炎や声帯結節に対して有効性が高いことが分かりました．この一方，他に治療法の少ないポリープ様声帯や術後性声帯瘢痕に対する効果も認められ，様々な音声障害に対して応用可能な治療法であると思われます．関心のある方は，ご相談頂ければ幸いです．論文の内容は専門医向けの内容ですが関心のある方はご一読頂ければと思います．また，論文内の動画は，共著者でもある二村吉継先生（二村耳鼻咽喉科ボイスクリニック）に，ご提供頂きましたが治療効果をご理解頂けると思います．
Comparison of therapeutic effects of steroid injection by benign vocal fold lesion type.
Takahashi S, Kanazawa T, Hasegawa T, Hirosaki M, Komazawa D, Konomi U, Nimura Y, Sakaguchi Y, Nozawa M, Yamauchi T, Watanabe Y. Acta Otolaryngol. 2021 Nov;141(11):1005-1013. doi: 10.1080/00016489.2021.1995895. Epub 2021 Nov 9.