声帯麻痺に対するbFGF声帯内注入療法の長期成績に関する論文が掲載されました．
金澤丈治
山内智彦医師（現新小山市民病院）の論文掲載のお知らせです．声帯麻痺は，肺癌や甲状腺癌，更に，胸部大動脈などにより生じ，音声リハビリテーション，声帯内注入療法，喉頭枠組み手術が行われています．私達は，前任地の国際医療福祉大学東京ボイスセンターと共同で塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の声帯内注入療法を提案してきました．今回，この長期成績をまとめた論文が掲載されました．内容ですが，この治療をうけた声帯麻痺の患者さん42例中26例はこの治療のみで良好な結果が得られ,16例は追加の喉頭枠組み手術やbFGFの注入療法が必要でした．結論として．最長発声持続時間が7-8秒の方にはこの治療は良い適応であり，5秒以下の方には喉頭枠組み手術を行うべきではないかと思われました．この治療は，様々な音声障害に対して応用可能な治療法でもあり，今後の発展が期待されます．関心のある方は，ご相談頂ければ幸いです．
また，論文の内容は専門医向けの内容ですが，オープンアクセスとなっており論文内に動画が示されています．治療効果がご理解頂けると思います．
Long-term results and safety of fibroblast growth factor injection for unilateral vocal fold paralysis.
Yamauchi T, Kanazawa T, Hasegawa T, Kurakami K, Konomi U, Hirosaki M, Komazawa D, Nozawa M, Takahashi S, Watanabe Y. Laryngoscope Investig Otolaryngol. 2022 May 25;7(3):799-806. doi: 10.1002/lio2.806. eCollection 2022 Jun.PMID: 35734070