働く母の職場事情―キャリア医師支援の取り組み-
上村佐恵子
こんにちは。医局ブログ雑学編にようこそ。
「ワーママ」こと「ワーキングマザー」とういワードですが、世間でも、流行り言葉のようにメディアや雑誌にもとりあげられておりますね…。「育児と仕事の両立」は、注目されるテーマの1つかと思います。理想と現実のギャップは大きいと感じている方が大多数だと思いますが…そんなわたしも、そのひとりです。今回は、育児と就業をテーマに、キャリア医師支援の取り組みについてお伝えします。
自治医科大学では「キャリア医師支援センター」が設立されており、①育児支援、②就業継続・復職支援、③次世代育成支援を3本柱に、様々な活動がなされています(※詳細は、自治医科大学キャリア医師支援センターをクリック !! https://www.jichi.ac.jp/c-support/)。キャリア医師支援としては全国的にも先駆けた取り組みであったと聞いておりますが、大学自体に育児支援の仕組みが確立されているため、医局単体だけでない幅広い支援を受けることができます。
具体的には、保育ルーム、夜間保育の他、病児保育も利用でき、育児休業明けからの利用はもちろん、育児休業中にも保育ルームに子供をお願いすることも可能です。ちなみに、保育ルームの保育士さん、看護師さん、そしてボランティアの地域のシニアのお母さん方も、本当に素敵な方々ばかりで、安心して我が子をお願いすることができます !!何かあれば昼休憩にわが子の状況を見に行くこともできますし、授乳が必要な場合でも移動に時間を取られずに対応できます(実際には仕事が忙しくてそれどころではない場合も多いのですが…)。
制度としては、育児短時間勤務を常勤医という立場で利用することができ、週30時間勤務、週20時間勤務と、個々人の状況に合わせて柔軟に選択することができます。これは、かなりのメリットです。育児休業明けにフルタイムでの復帰となると、何かと勤務時間中は実務で忙しく、自宅に帰れば家事・育児に多くの時間が取られるため、自分の時間はほとんどとれません。家事・育児の時間を確保することが目的の時短勤務ですが、その制度をうまく利用して、時には、学会発表の準備や論文等の執筆の時間に利用することができますし、少しハードルは高くなりますが、家事・育児も行い、臨床も続けながら、研究を進めている医師もいます。さらには、社会人大学院生としての時間に充てているケースもあります。時と場合により、自らのキャリア形成の時間に利用するもよし、家事をしっかりこなすのもよし、子供を早く迎えに行って、公園に寄り道してあげる時間に費やすのもよし、です !個々人で考え方、育児環境は大きく異なりますが、時短勤務をうまく利用することにより、多少の時間的な余裕が精神的な余裕にもつながり、例えば祖父母が遠く、親族の手助けが得られにくい場合でも、何かを諦めるのではなく、キャリアを継続し、かつキャリアアップを図れる環境を得ることができると思います。
2022年現在、当科では、3名の育児短時間勤務の医師がおり、各々が様々な形で活躍しています。そのうち女性医師が2名、男性医師が1名です。また、女性のみならず男性医師も2名の育児休業取得経験者がおり、かなりフレキシブルな医局体制を目指しています。これらはもちろん、医局の理解と支持がなくては成り立たちませんし、本当に有難い限りです !全国的にも女性医師が増える中、出産後もキャリアを継続し、少しずつでも成長し続けられる環境を整えることは、必要不可欠な課題です。まだまだ過渡期…ではありますが、当科も、働き方の多様性をうまく融合させ、誰しもが働きやすく成長できる組織であることを目標に、今も改善にむけた取り組みを継続中です!!